永久脱毛のしくみ
改革が成功しはじめると、必ず旧体制からの大きな揺り戻しが起こる。
このクーデターも、古い体制に安んじていた上級武士たちが、変化に耐えられず反発したものであった。
これに対して、鷹山は家臣たちに「私の方針は間違っているか」と問いかけ、ただちに「いやいや重臣たちの方こそ間違っている」という回答を得ると、クーデターを起こした重臣に切腹をはじめとする厳しい処分を下した。
みごとな衆議独裁である。
これによってピンチをチャンスに切り換え、改革反対派の退路を立ち切った。
「揺り戻し」と並んで、改革の過程で必ず訪れる危機が「成功者のおごり」である。
ほんとうはこの方がおそろしい。
改革が成功すれば、やがて改革者が体制の中心となり、大変な権力が集中する。
そのうち、権力のおもしろみを知り、体制に安んじるようになる。
鷹山の改革も例外ではなく、竹俣当綱という鷹山の右腕であった人材が、自らの権力に溺れてしまった。
このときも、鷹山は竹俣を隠居謹慎とし、藩政から追放した。
最も信頼し、最も有能であった家臣を切り捨てたのである。
鷹山は「改革が成功しはじめれば、必ず揺り戻しが起こる」「改革者は成功すると堕落する」という自覚を持っていた。
だから、迅速果断な処置ができたのであろう。
「人」を活かすという基本を持っていた鷹山が、断固として「人」を切り捨てた背景には、改革に対して不退転の決意があったからだと、私は思う。
トップが途中で、「ヤメた」と、おりてしまうようでは、改革は絶対に成功しない。
鷹山が重臣の反対や部下の堕落を切り捨てたのは、それだけ強い「改革の意志」を持っていた表われと見ることができよう。
鷹山の偉大さは、動のときも竹俣処分のときも、必ず1度は反省、再起のチャンスを与えていることである。
苛烈ではあるが、チマチマした手練手管のない、骨太い改革家である。
私情は入れるが、私情に左右されない。
鷹山は、改革に対するそういう精神の端正さを生涯持ちつづけた。
組織のミドルークラスに火をつけろ。
鷹山の改革が成功した最大の理由は、単なる「上からの改革」ではなく、「下を巻き込んだ改革」にあったと考えられる。
組織の改革は、ミドルークラスの奮起にかかっているといってよい。
実際の組織運営者はミドルークラスだからだ。
鷹山は20石から40石クラスの中下級武士をかなり起用している。
鷹山が有能なミドルークラスを起用したことは、きわめて適切なことだったといえよう。
さらに、鷹山は「現在、財政においてどのくらい藩が困っているか」という情報を公開することで、トップとミドルークラスが情報を共有できるようにし、そのうえで協力を求めた。
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